第66話

衝動的に引き止めてた。


なにも考えずに。


引き止めたあと、しまったと思ったけど、もう遅い。



兄貴が一瞬、眉間に深く皺を寄せた。


なんだよ、と言いたげに。

兄弟だからわかるけど、実際相当イラついてんだろうことは直ぐにわかった。


んな怖い顔しなくても、由希先輩は兄貴の彼女だろ。


奪(ト)ったりしねぇよ。


───ホントは欲しくて堪んねぇけどな。

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