第57話

月が、嘲笑ってるように思えた。


なにを言おうとしてるんだ、と。



だけど。


わたしなら。


そのときのわたしにはそんな想いだけだった。


その想いだけで、十分だった。




「先輩のことが、好きです」


悠哉先輩が目を大きく見開くのが闇の中でもわかった。


「わたし、先輩のことが、好きなんです」


気づいたら、告白していた。


一生口にすることはないだろうと思っていたのに。

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