第45話

先輩が───…


泣いていた。


苦しそうに、泣いていた。


わたしは、先輩に気づかれないように、体育館にある柱の影に隠れて先輩を見続けた。



「…っ…なんでだよっ…なんで俺じゃ駄目なんだっ」



なんのこと言っているのか、当然だけど、最初はわからなかった。


「うぁぁ…っ…なんで俺だけを見てくれないんだッ!!由希ぃぃ…」



頭が真っ白になった。

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