…悠哉

第32話

初めて会ったときから、ずっと好きだった。



「由希」


名前を呼んで、自分の胸の中に引き寄せる。


サラサラの茶色い髪を掬うように撫でる。


髪にキスをする。


俺の、大切な大切な、彼女。



「ゆ、悠哉っ。み、みんなが見てるっ」


そして、究極な恥ずかしがり屋。


────表向きは。



“みんなが見てる”


違う。


アイツが見てるから。


アイツが。


───凌汰が、いるから。

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