第9章

第23話

「…秘密を知ってしまったのだから、私にも見せて頂戴…二人の愛を…」


お嬢様の命令は、絶対だ…。


しかし…


「あら…?見せてはくれないの…?恋人なら出来るでしょう?…それとも、本当は偽りの愛なのでは…?」


「お嬢様…!それは違っ…」


それは違います…!!そう言い掛けた時、アレックスはわたくしの唇を塞いだ…。


「ん…ッ…♡あ…ッ…♡ふ…あッ…♡」


彼の舌の熱が…私の口内を乱して…お嬢様も見ているのに止まらない…。


二人の愛を見せてと仰ったお嬢様は、口元を手で覆っている。


普段、お嬢様の前では決して見せない、美しき二人の執事の妖艶な契り…。



「お嬢様、まだですよ…?私達の愛を見せてと仰ったのは、お嬢様ではありませんか…私達のスイッチを入れた責任、取って頂かないと…」


そう言っている間にも、わたくし達の衣服は更に乱れていく…。


互いに燕尾服のジャケットを脱がし、白いシャツから覗く首筋に舌を這わせ…やがて、一つに溶け合っていく…。


その頃には、お嬢様は両手で顔を覆っていた。


「あ…ッ…♡あぁ…ッ♡…もう…限界…」


甘い吐息混じりに紡がれる言葉…


「…愛してる…」


こうして、私達は果てていきました…。





「…お嬢様…これで宜しゅうございますか?」


「えぇ…」


お嬢様は、熟れた苺の様に顔を真っ赤にしていた。


「…お嬢様には、刺激が強かったようでございますね…」


「好奇心だったのかもしれませんが…無闇に人の秘密に迫ってはいけませんよ…?」


お嬢様は、静かに頷いた。

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