第13話
たまにこうして早く目覚めた時は、そのまま学校に来てしまう。時間まで寝てた方がいいのかもしれないけど、朝早くから夜遅くまで働いているお母さんに申し訳ないような気持ちになるのが嫌で。
本当はもっと腹を割って話せたらいいんだろうけど、疲れた顔をしているお母さんを見ると、言葉が出てこない。
言いたい事も、聞いてほしい事もいっぱいあるけれど。
叶わぬ願いをいつまでも溜め込んでいても仕方ない。
わたしは校舎の中に入ると、上履きに履き替え、図書室に向かった。
図書室までの廊下を歩いて行く途中、窓から外を眺めてみる。
先程よりも風が強くなっていた。
ゴウゴウと唸り、木々を攫うようにして吹き荒んでいる。雨は窓を責めるように叩きつけ、その姿に少し恐怖さえ感じる程だ。
今日は部活の朝練の生徒もいないみたい。
昨日の夜、ニュース番組の天気予報で嵐の予報が出ていたせいだろう。
人気のない校舎は好きだ。
広い空間に、わたしひとりだけ。
誰の顔色も伺わなくて良い心地よさがわたしを別の世界にやってきたような感覚に誘う。
図書室は校舎の奥、1階の校庭側の隅にある。
その角を曲がればすぐそこだ。
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