永遠を生きる薔薇は美しく咲き乱れ…。

如月 春音

第1章

第1話

「愛してる…萌架…。」


「私も…ルーク、あなたと永遠を共に…。」


こうして、萌架とルークは、お嬢様と執事と言う立場から恋人に変わり、互いにヴァンパイアとしてひっそり生きていくことを決めた。


しかし、ルークは執事として身に付いた物がなかなか取れないらしい…。


「萌架…。そろそろ紅茶は、如何ですか?」


噂をすれば、ルークが声を掛けてきた。


「ありがとう。でも、飲むならルークと一緒に飲みたいわ。」


萌架は、穏やかに微笑みながら椅子に腰を下ろした。


「でも…これじゃあ、今までとあまり変わらないじゃない…。」


萌架は、少し頬を膨らませ、ポツリと呟く。


「そうだ!今日は、私がルークに食事を作って振る舞いたいわ!」


萌架は立ち上がり、手に拳を握っている。


気合充分で、そのままキッチンへと向かって行った。


「楽しみにしていますよ。」


彼が代わりにテーブルと椅子へ場所を移した。


…恋人同士になってから、仄かに期待してしまう自分がいる…。


『私って…こんなに欲深い人だったかしら…?』


萌架は、ルークに思いを伝え、自分の血を彼に渡した日のことが忘れられないでいた。


『自分の長年の思いが実った事、ずっと隣で居られる事、そして…彼に、私の血を渡した時の獣の様な瞳…好き…♡』


そんな考え事をして野菜を切っていたら……


「いったーい…!!」


「萌架…!?」


家中に萌架の声が響き渡り、ルークは即座にキッチンへ向かった。


「大丈夫ですか!?」


「大丈夫よ。ちょっと包丁で指を切ってしまったみたい…。」


萌架がそう言うと、ルークは彼女の怪我した指を自身の口へ咥えた。


「ちょっ、ルーク!?」


「全く、わたくしのお嬢様は危なっかしいですね…でも、そこがとても可愛らしくて好きですよ。」


愛しの彼の言葉に、萌架の胸がときめいてしまう。


「どうして、いつもルークは、そんなに余裕なの…?私も、ルークをもっと喜ばせたいし、ドキドキさせたいのに…。」


すると、萌架の手が彼によって彼の胸元へ置かれた。


鼓動が早い…。


わたくしに余裕なんてありませんよ。さっきも、この間も精一杯です。」


ルークは、ほんのり顔を紅潮させていた。


「嘘…本当に…?」


余裕のない表情のルークを萌架は、初めて見た。


「萌架は、大胆な所がありますからね…。」


「…じゃあ、食事は後にして、もっと私にドキドキして欲しい…。」



時刻は、間もなく夜中の0時の針を指す…。

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