かなりの短編

@imotozirou

精密な機械

西の隣国の商人が大きな機械を持ってきた。王様は尋ねた。

「これは何だ」

「非常に精密な動きができる機械でございます。それに騒音も出さない。この世界中どこを探しても肩を並べるものはないでしょう」

商人は仰々しく答えた。

「それはいい。ぜひ買い取ろう。いくらだね」

「お代だなんてとんでもない!ただ、西方の小さな町をくださればいいのです」

取るに足らない町だ。それとこの機械が交換できるとは素晴らしい。

「ぜひそうしよう」

商人は満足そうに帰った。王様は早速機械を使ってみた。機械は精密な動きで、また少しの音も出さず、卵を割った。そして、精密なオムレツ機でオムレツが作られ、精密なテーブルに並べられた。

王様は素晴らしい、素晴らしいと手を叩いて喜んだ。実のところ、王様は「精密な王様」なのだ。大臣はため息を吐いて言った。

「まったく、精密な大臣が来ないことを祈るばかりだ」

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