第2話

「また、フラれてしまった……」




夜の街、雑居ビルの七階奥にあるこじんまりとした目立たない居酒屋で、失恋の傷心に浸る私。



そんな私に、




「いや、それは美桜、アンタが悪いでしょ」




と、冷たく指摘してくる友人がひとり。




「うんうん。やっぱり今回も美桜が……ね」




と、フォローの一言もくれず同意する、冷たい友人がもう一人……




「でもっ、俺とアイツ、どっちが大事なの?なんて質問するっ?その上、どっちかに決めて、だなんて!」



「だから美桜の場合はそういうこと言われても仕方ないって」



「そうだね。仕方ないと思う……」



「う゛……」




二人がそう言うんだから、やっぱり今回も私がダメにしちゃったんだとは思う。



フラれたっていうのに、友人二人に責められてしまう女、里井美桜(サトイミオ)二十歳の大学二年生。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る