第19話

「ところで、竜。今の時間なら私は遅刻しないからいいけど、竜は早めに行った方がいいんじゃないの?」





食器を洗いながら竜に聞いた。





「大丈夫!サックーが俺の仕事全部やってくれるから!」




親指をぐっと立てて満面の笑顔で言った台詞は大人としての悪い例だった。仕事押し付けんなよ……つかサックーって誰だよ。




駄目な大人を見る目で見てたら満面の笑顔から一転、しゅんと耳が垂れた子犬のように上目使いでお願いのポーズをとった。




「だから一緒に行こ?ね?ね?」




「仕事しろ社会人!」




「してるよ!……………時々」





おい、最後の言葉。





「車で送ってくからさぁー!おーねーがーいー!」





先ほどの上目使い+キラキラうるうる攻撃。





くっ………私がそういうのに弱いの、分かっててやってるなこいつ!






最終的に私が折れて一緒に家を出ることになった。

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