第10話

私の威圧にびくっとし、微かな怯えを見せる。





「お前が逆の立場だったらどうする?いきなり知らないやつにケンカ売られて、負けたら」




「ボコボコにしてやりてぇですよ、そりゃあ!」




「それと一緒だよ」





そう言えば、ハッとしたように私を見る。





「相手も同じ。だからお望み通りボコられて、平和的解決をしよーとしたの。あそこでやり返したら繰り返されるだけ。わかった?」




己の未熟さに歯噛みしながら力強く頷いた海藤を見て、私は満面の笑みを浮かべる。





「わかったなら良し!おいお前ら、ちと邪魔が入ったが腕相撲大会再開すっぞ!」




「「うおおおおお!!」」




「つーか華さん、怪我してるやつもいるんすけど!」




「おーそうか。じゃあ自分で手当てして勝手に混ざれ」




「華さんひでぇ!手当して下さいよー」




「さらに怪我を増やすことになるが……いいのか?」




「ヒッ……や、やっぱいいっす……!」






馬鹿な会話を聞いていた海藤は初めはポカンとしていたが、やがて笑って会話に混ざってきた。






これが私達の日常。






ケンカもするし、馬鹿なこともする、そんな日々。

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