第58話

「綺……、」


 


「もう……いい、自分が悪いのなんて分かってる。若月君を信じたから。」


 


自分で涙を拭うけれどそれは溢れてくる。


 


若月君はテーブルにあるティッシュペーパーを見つけるとアタシに渡した。


 


「俺は全然分からない。綺を好きだったし別れる気なんてなかったし……綺以外にそんな相手いないし。」


 


彼は困惑した表情をしていた。


 


アタシはその姿が若月君の本心なのか、それとも演技なのかただ彼を見つめていた。

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