1・三つ子の紹介と荷物解き

第1話・1・三つ子の紹介と荷物解き

「これで良いわね?ママがあなた達を産む前に住んでいた街よ」

「ありがとうー!ママ」

「うん!これで大丈夫だよ」

「ありがとうございます。ママ」


引っ越し先の家で荷物を解きながら三つ子達に伝える。

一年間という短いスパンの中で奮闘した。

引っ越しに、保育園の入園手続き、そしてまたこの街に帰って来たから会社の面接…と。


「骨が折れるかと思った…」


肩を首もグルグル回しながら三つ子ちゃん達を見た。


「これでパパに会えるね」

「そうだね。でもどうやって探す?」

「確率は低いと思いますよ」


まーた三人で寝そべって内緒話をしてるからコソッと近付いたら見つかってしまった。


「ママー!!覗いちゃダメ」

「良いと言うまでダメですよ?」

「そうだよ!」

「ママを除け者にする気〜?この三つ子達め〜」

「きゃあー」


三人を抱きしめる。

赤ちゃんの頃は大変だった…では済まないな。

三人同時に泣くもんだから2人は抱っこしてあやしてもう1人はハンモックに入れてあやして…。

寝る時間も無いままでもここまで育ってくれた。


「ママ」

「何?」


三つ子の内1人は長女の沙織さおり。二つ縛りで癖っ毛の女の子。

長男の慎一しんいち。メガネをかけていて本が大好き。

次男のさとる。親の私から見てひ弱な感じなんだけど計算が大好きで喋り方は敬語に近い。


「ママ、大好き」

「ママも大好きだよ」


大好きって言葉にチョロい私。

残りの2人がニヤッと笑って沙織は策士だと…この時はまだ気付かなかった。


「荷物片付けちゃうからあなた達も片付けてね」

「はあーい」


三人良い返事をしたけど沙織は私から離れて2人の元に行きまた寝そべった。


「沙織、慎一、悟〜〜」

「あっ!はーい!!」


三人とも私の雷が落ちる前に立ち上がり片付けに行った。


「ったくもおー…」


こんなバタバタしてるけどこれはこれで幸せを噛み締めて荷物の片付けを初めて行く。


これから三つ子がまたあの人と会わせるなんて思いもよらなかったけどね。

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