第11話

「もう、秋か……」




そう言って男が空を仰いでいた。



私もそれにならって空を見上げる。




「枯れ葉がすごいなー」




ふと枯れ葉が舞ったのを見て呟くと、男はクスッと笑った。




「そこは女の子らしく、寒くなったねって言わねぇのか?」



「そしたら上着貸してくれんの?」




今日は良く笑うんだな。


前は早く帰れって、怒りまくってたのに。




「あぁ。お前になら貸してやる」



「ッ……!!」




さ、さまになってたからドキッってした。



また、発病してるよ……。


ほんとにこの人の前だと、鼓動が早くなるなぁ。




「く、口説くなよ……」



「ハハッ──!!」




なんか、今の笑みはバカにされた気分……。




「お前ってホントに良いな。気に入った。


俺の本名、金島かなしま 那久だくって言うんだわ。覚えとけよ?」




金島、那久……。



あ、私はどうしよう……。




「えっと……」



「無理して名乗んなくて良い。また会えたらいいな?」




あ、優しいんだな……。



察してくれた。




「──うん」




自然と溢れる笑み。




「じゃぁな」



「うん。またね!」




またと言っても良いようなこの関係が、すごく嬉しい。



すると、顔を近づけて来て──




「……絶対に会おうな」




そう私の耳元で那久が囁いた。



それにまたドキッと心臓が跳ねたけど、今までの感じ方と違って、不思議と心が満ちていくのを感じた。




こ、この人絶対におかしい!


こんな口説くような言葉、普通言う……!?



あー、もう!


ドキドキが止まんなくなっちゃったじゃん……!!

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