友だち以上 恋人未満~好きだけど好きじゃない~
第7話
だいきと、まゆみは、学生からの友人だった。
誰よりも特別だ。
なにをしても気の合う友達で、学校も部活もバイト先も
一緒だった。
「ふたりって付き合ってるの?」と
共通の友だちに聞かれては、
「つきあってないよ」と当たり前のように答える。
好きだけど、好きじゃない、お互いがお互いを、
良い人だと思っていた。
だいきが結婚するまでは。
だいきは、いつまでもずっと一緒にいてくれると思っていた。
だけれど、だいきは恋愛対象じゃない。
でも、誰か女の子といるともやもやした。
でも、付き合おうとは思わなかった。
だいきは、そんなまゆみから離れたいと思った。
まゆみの笑顔はとても好き。
特別な感情が出てしまったから。
でも、まゆみはだいきに特別な感情はなかった
ふたりは愛し合えなかったのだ。
公園で立ち話をしているときにだいきは、真剣に悩んで言った。
友達以上の感情を抱いてしまったことを打ち明けた。
まゆみは言った。
「好きだなんて言わないでよ。」
「俺の気持ち、わかってるでしょ?」
だいきは、確認したように言った。
「・・・壊したくないんだよ。」
「だったら・・・!。」
だいきは、声を荒げてしまった。
すると、まゆみは涙目で言った。
「好きだけど、好きじゃない。」
「・・・そっか。」
だいきは、下を向いてため息をついた。
「でも、付き合いたくないけれど、他の人のところに行かないで。」
まゆみは強く言った、それが、わがままだとわかって言った。
だいきは、他に好きな女もいなかったし、まだまゆみは自分のことを
好きになってくれるかもしれないと思ってしまった。
だから、受け入れてしまった。
「・・・わかった。」
だいきとまゆみは、友達以上恋人未満でいることにして、
友情を大切にすることにした。
それから、だいきとまゆみは社会人になった。
だんたんと会わなくなり、お互いに距離ができた。
正確には、会わないように、だいきが、まゆみとの距離をとった。
1,2年がたとうとしたころ、
だいきはまゆみに電話をした。
いつも一緒にいた公園に、まゆみを呼び出した。
まゆみは、久々の再開になつかしくて嬉しかった。
公園は夕日で橙色に染まる。
まゆみは、また、だいきとの友情が続くと思っていた。
でも、だいきから出た言葉は違った。
「俺、彼女ができた。結婚するから。」
まゆみは、だいきに泣きそうな顔をしながら言った。
「・・・裏切らないでよ」
だいきは、困った顔をして聞いた。
「俺に、恋愛感情はないだろ?」
「うん、ごめん。」
「・・・はあ。」
だいきはため息をついた。
最後に、だいきはまゆみの頬にキスをした。
悲しいキスを。
それは、友達以上、恋人未満のふたりの最後の瞬間だった。
まゆみは下を向いて泣きながら言った。
「最愛の人と、幸せになってね。」
そして、だいきは、困ったかのような笑顔をして声を張り上げた。
「おまえもな!」
ふたりは笑顔でお互いを見送って別れた。
大切な思い出を心に残して。
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