第94話

「……好きな人に自分を曝け出す事が怖いんだと思う。自分を知って欲しいと思うよりも今は前者かな。」


「どんだけ千秋朔を好きなの。さすが2回も好きになるだけあるわね。」


涼子は呆れたように笑った。


「千秋君は一緒に暮らそうと言ってくれたんだけどね。」

「は?」

私の言葉に涼子は目を丸くする。


「ちょっと千秋朔の行動が余計に意味不なんだけど。一緒に暮らすこと提案してベッドで何もせず!?」


「私はまだ千秋君と暮らすことに踏み出せないよ。これでまた……、」


私は言葉に詰まる。


涼子は私の肩に触れる。


「分かるよ、また振られる事考えてるんでしょ?」


私は涼子を見て黙って頷いた。

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