第57話

「初めから信じてなかったよ。ねな自身が異性に慣れてないことくらい直ぐわかったから。」


さすがに恋愛上級者だけあって鋭い。


「槇村君が、千秋君に威嚇されたって言ってたの。」

「威嚇って、」

そう言って千秋君は笑った。

「ちょっと彼には意地悪し過ぎたかな、あのエレベーターの中で目が泳いでいたのおかしかった。」


それを聞いて本当に槇村君には申し訳ない事をしたと実感する。


「……だって、彼氏がいるってことにしないと私、」


そう言いかけて我に返る。


「ねな?」


千秋君は私を不思議そうに見た。


彼氏がいるってことにしないと私は千秋君への気持ちが加速するからセーブをかけないと、なんて言えるわけない。

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