第47話

え、どうして?私があの千秋朔とキスしてる?

もしかして酔いなんて全然覚めてなくて夢の中の話なの!?


「ねな……、」

千秋君から聞いた事のない甘く私の名前を呼ぶ声がリアルすぎる。


溺れそうになる、這い上がれない。

千秋君はこんなキスをするんだ……。


彼の唇が私から離れると、


「ねなはまた俺のことが好きになってる。」


その言葉に私は動揺する。

「そ、そんなことないから。一度振られたからわきまえてる。」

「わきまえてる?」


「離れて、お願い。」


私は視線を彼から外してそう言った。

これ以上近いとおかしくなりそう。

必死で気持ちを殺そうとしているのに。


「千秋君、意地悪だよ。」

「どこが?正直に言っただけ。」


千秋君はそう言いながら私の鎖骨に触れる。

私はその手を掴んだ。


「私は……千秋君とそういうことしたくない。」

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