93・やはり可愛い〜悟目線〜

第93話

「俺に付き合って欲しいってどういう心境なんだ?」

「別に良いでしょ?気分転換したい気分なの」


休みでゴロゴロしようと思った時に急遽野々から連絡を貰って街に出掛けに来てる。

野々と二人・・で出かけるなんて何年ぶりなんだろうか。仕事は除くけどな。


「……」


横に並んで歩いてる野々は何かブツブツ言ってる?


「知らんぷりなんかしてないわ」

「野々?何をブツブツ言ってんだ?」

「わっ!!」


野々を覗き込んだら野々が後ろに下がったから転びそうになり慌てて腕を掴んだ。

男として好きな女性に恥をかかせられない!!


「危ねぇーな、野々。大丈夫か?」

「あっ…うん。ありがとう」


きっと痛い思いをすると思った顔に可愛いなぁーと思いながら野々の手を見つけて繋ぐ。


「じゃあ、行くか」

「悟っ!」

「なんだ?野々?」

「手っ!手繋いで…」

「また転ばれると困るしな」


変な言い訳をしてる自分の顔が熱く耳まで赤い事にきっと気付かれてる。


「プッ…」

「何笑ってんだ?野々」



「野々、何処に行くんだ?」

「あっ、あのね悟の好きな所で良いよ」

「ならさー」


行きたい場所は、野々がビックリする所が良い。

営業周りで見つけたんだ。


「ここって…」

「久しぶりだろ?野々の好きな店」

「うん!ココに移転したんだね!」


嬉しそうな顔に俺の顔も綻ぶ。

店に入り座ったら女二人に声を掛けられた。


「あれ?悟じゃん。女性連れ〜?」

「久しいな。元気していたか?」


大学のサークル仲間だったかな?って曖昧な記憶を、辿り話終わったから野々に謝った。


「ごめんな、野々」

「別に」


なんだか怒ってる?

まさかな。だって俺だよ?佳彦じゃないし。

野々の好きな男にはなれないのは分かってるから気を取り直そう。


「何食べる?野々」

「うん。何しようかな…」

「俺、これが良いな」


野々とこうやってメニューを見るのが楽しい。

やはり俺は野々が好きだなって実感する。


「それにすると思った!」

「悟こそね!いつもそれ食べていたじゃないの」

「よく見てるなー。野々」

「別に。いつも同じのしか頼まないじゃないの!」


そう言って慌ててプイッと横を向いた野々の可愛さは誰にも見せたくないと思った。


「やはり可愛いな。野々は」

「なっ…!!」


俺はやはり野々は可愛いし好きだな。

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