『元』旦那！？〜離婚？したって大好きなのよ〜

12・久しぶりの匂いに…

第12話

「治った…」

「何か言った？」

「いいえ。この唐揚げ美味しいなー…と」

野山さんに危うく聞かれる所だった。

「ここの居酒屋の唐揚げ美味いんだよ。佳彦も野々も好きなんだよ」

「そうなんですか…」

佳彦は迷いなくここの居酒屋に来たからどうして？か疑問だったけど同期（悟と野々）と来ていたから迷いなく来れたのか。

「野山さん！ビールお願いします」

「ビールお願いー」

別のムカムカが湧き上がる。

これは自分の知らない事なのに離婚（・・）してから知るって複雑すぎる。

「沢井さんっ！」

「沢井さんは野山が見てるから私達は私達で呑もう〜」

「野々、離せ。ひっついて鬱陶しい」

高畑さんが佳彦にベタベタ…してイライラする。

「！！」

元夫（・・）に嫉妬なんてみっともないって思うけど気持ちは佳彦が大好き大好きなの。

「はいよ。華ちゃん」

「ありがとうございます」

見ないように目を瞑って一気飲みする。

「はあっー…」

「いい飲みっぷりだね」

「おかわりです」

今だけお酒に呑まれていたい。

もぉ、どうにでもなれって思いながら次のビールが運ばれて来るからまた飲み干す。

「華ちゃん、ペース早いね」

「えっ？何ですか？野山さん〜」

フワフワして気持ちいい。

「あはは。野山さんは悟（・）って名前なんですよね〜」

「そうだね。華ちゃんペース落とそうか」

「まだまだ行けますよ〜」

ビールは飽きたので今度は焼酎に手を出す。

「華、飲み過ぎだぞ」

「あれぇ〜。佳彦（・・）がココにいる〜？」

いつの間にか右隣に佳彦、左隣に野山さん。

「高畑さんは何処ですか〜？」

「野々ならココにいる」

高畑さんはちやっかり佳彦の隣に居て呑んでいた。

「佳彦〜。私と話しましょ」

「！！」

高畑さんが私の目の前で佳彦の頬を触るからその手を払い除ける。

「何すんのよ」

「私（・）の佳彦（・・）です！」

「沢井さん！部長が、好きなんですか？」

「わぁ、分かります！カッコいいですもんね」

私の佳彦好き宣言に他のメンバーが賛同する。

「佳彦…部長は…」

クラッと酔いが回って来た。

ペースが早過ぎた。

「沢井さんは、俺が送るよ」

「佳…彦」

「私も送って〜。佳彦〜」

高畑さんが遠く意識の中騒いでる。

「沢井さん。俺に捕まって」

久しぶりの大好きな匂いに酔いが更に回る。

このまま溺れていたいの…。