幸せな結末は自分で勝ち取る!!

@B4RS

1→お菓子作りが優先です!!

第1話

「フフン〜〜〜」


私、ナタリー・ハロウはお菓子作りが趣味で家族にも振る舞っております。

作るのも考えるのも大好きだから恋愛なんて後回しなんだけども………


「ナタリー・ハロウ!お前との婚約を破棄する」

「……」


舞踏会でみんなの前で名前なんでしたっけ?な応対しかしてない婚約者に、破棄を言い渡されました。


「マリアージュに厳しい事を言っただろ!」

「…ん?厳しい事?」


マリアージュ?あぁっ。この女性の事かしら?と婚約者だった…もう過去でいいわねと思いつつ隣にいた女性を見た。

そして、この女性を見ながら何か言ったかしら?と思い考えて考えて全然思いつきません。


「何か言ったかしら?」

「あなた、私に厳しい事言ったわよ…」


嘘泣きな涙を流して名前を覚えてない婚約者にしがみついている。

なに?この茶番劇。


「素早くかき回さないとダマが出来ると厳しい口調で言って泣いていたぞ!!」

「えっ?バカなの?当たり前の事を言っただけです。お菓子作りは素早くが、基本ですよ?なめすぎてますけど?」


お菓子作りがどんなに繊細かも知らずに基本的な事を知らなすぎて笑ってため息が出ました。


「ナタリー、お前本音が口から飛び出てる。建前と本音が、反対だからな!」

「あらっ?本音も建前も一緒です。本音でも建前なんかこれっぽちもありません。私的にはそんなんで人生半分以上損してる気がしますけど。ダマなんて作ったら大変なんですからね!!」


怒って言ってやった。


「ナタリー、破棄だぞ?」

「どうぞ。私は破棄されても痛くも痒くもありません」


本当に痛くも痒くもない。婚約者が居なくなったと柵から抜け出せてヤッホーって感じなんですよ。


「陛下ご迷惑をおかけしました」

「ナタリー、お菓子また持参しなさい」

「はい」


陛下と親しく話していたら元婚約者が驚いた顔をしていた。


「ナタリー、そなた…」

「陛下と?お菓子仲間よ?そして」


元婚約者に近くに寄って…本当は近寄りたくないけどマリアージュさん?を見てから元婚約者、名前を忘れた元を睨んだ。


「私の名前の呼び捨ては失礼ですからおやめ下さいね。そして、破棄書記入しますから。おさようなら」

“お”を最後だからつけてやったわ。そしてホールを堂々と歩いて後にした。


「ヤッター!!!」


お外で叫んで嬉しくって叫んだ。


「ヤッター!やったー!ありがとう!!破棄!」


破棄してくれてコレでお菓子作りに専念出来て

したかったお菓子が作れる事に喜びを隠せなくって1人月夜の下で舞い上がって踊っていた。


「あははは」

「?」


踊っていたら笑い声が聞こえて笑ってる方を向いたら金髪強面の男の人がお腹を抱えて笑っていた。


「なに用かしら?」

「いいや。ホールの件、面白かったよ」

「ありがとうございます」


なんだが高貴な人っぽい気がするからとりあえずカーテシーをした。


「あはは。人を見る目があるね」

「ありがとうございます?お菓子が嫌いではない方とお見受けしました。」

「お菓子、いつも美味しいよ」

「やっぱり!ありがとうございます。陛下の知り合いですよね?陛下にまたと伝えて頂けますか?」


陛下の知り合いと見た!!から伝言を、ちやっかり頼みました。


「あははは。やはり面白いね」

「では、これで失礼します」


ウキウキルンルン気分で馬車に向かって乗ろうとしたら先程の男の人がエスコートしてくれた。


「?。ありがとうございます」

「レディを、エスコートする役目を仰せつかう大役を貰えて嬉しいな」

「これはありがとうございますかしら?」


駆け引きも分からないからとりあえず礼を伝えるべきねと頷いた。


「見てて、飽きないな」

「私をバカにしてます?」

「してないよ。可愛いって思っただけ」

「はぁ。ありがとうございます」


この男の人、直感だけど危ない気がする。


「この馬車ですからありがとうございます」

慌てて離れて馬車に乗り込む。

「ハロウ家だね」

「そうです。自己紹介まだでしたね」


改めて危ない気がするけど挨拶大事!!と向き合って自己紹介をする。


「ナタリー・ハロウと申します」


カーテシーをして挨拶を終わって顔をあげたら唇を塞がれた。


「なっ!?」


急に唇を塞がれてビックリして硬直してしまっ い、慌てて冷静になってその男性の頬を叩いた。


「なにするんですか!!」

「えっ?可愛いかったから」

「はぁ?最低!!」


慌ててその男性から離れてバタンッと大きい音を立てて馬車の扉を閉めた。


「またねー」

「………」


無視して馬車を、走らせた。


「なんなの?!あの男!!人のファーストキスを奪って笑って…「またねー」ってムカつく」


やはり危ない人だったから注意していたのに!!腑が煮えくり返っていたからそのまま家に帰って婚約破棄の事を言わずに部屋に戻ってしまった。


「ナタリー!!」


朝早くからの大きな声で飛び起きた。


「はーい」


寝ぼけまなこでリビングに行った。


「ナタリー、年頃のレディがそんな格好で!」

「お父様が呼んだからそのまま来たんですよ?」


お父様が呼ばなければ私だって身支度してリビングに入りますわよ…多分。


「揚げ足取りするな。着替えてまた来い」

「はい。お父様、お母様、あっ!そうですわ。

昨日婚約破棄しましたので」

「その話だ」

「あらっ。じゃあちゃんと着替えてきまーす」


そう言ってリビングから自分の部屋に戻った。


「ニア、着替え手伝って」

「お嬢様、そのまま行くから旦那様に怒られるんですよ?」

「あらっ、お父様が呼んだのよ?そのまま行くべきでしょ」


ニアは私の侍女。私の身の回りをしてくれる。


「…昨日の舞踏会、散々でしたね」

「昨日?破棄なら別に痛くも痒くもないわ。

これでお菓子作りに集中出来るから!」


ウキウキルンルン気分で言っていたのに帰りを思い出して怒りが込み上げてきた。


「お嬢様?どうかしましたか?」

「あぁ?昨日最低な男がいてね…」


思い出すだけでも腹が立つ!!2度と会いたくない男だ!と思いながら着替えて再びリビングに行った。


「………」

「ナタリー、どうして言わないだ」

「はぁ?」


お父様に話しかけられて口調が悪くなる。


「ナタリー嬢、昨日ぶりですね」

「はぁ…。なんでいるんですか?」

「ナタリー!!閣下、申し訳ございません」


閣下?もしかして……アイオオ閣下???


「閣下〜!!甘い物好きと聞いてます!なにが好きですか?お作りしますよ!」


強面なのに甘いもの好きと噂があって閣下に食べてもらいたいと思っていたのよねー!!


「……あれっ?昨日はいつも美味しいよって…」

「陛下から貰ってるんだ。だから俺に作ってほしいと思ってきたんだ」

「お任せください!なにが良いですか?」


お菓子好きな人に悪い人はいない。

昨日は危ない人って思って申し訳なかったですね!と謝ったらお父様は顔が真っ青になっていて閣下はお腹を抱えて笑っていた。


「閣下!なにがよいですか???」


ウキウキルンルンしちゃう!なんでも来い!ですわよ!!


「ナタリー嬢のおススメで」

「はい、却下」

「ナタリー」


お父様がまた顔が真っ青になる。


「ご自分の意見がありませんの?ないなら作るのやめて自分の好きなモノ作ります。ただし、閣下には差し上げません」

「これは厳しいな。ならチョコカップケーキ」

「お任せくださいませ。それまでお父様とお話しでもしていて下さいませ」


閣下に要望を貰ったチョコカップケーキを作る為に厨房に向かった。


「閣下にチョコカップケーキ、嬉しいわ」


本当は密かに憧れていた。

昨日も会った時だって閣下だってすぐ分かった。

腑が煮えくり返ったのも本当。

キスしてくれた時も本当は嬉しかったけど閣下は強面のくせに女性に優しいから手出しが早いと聞いて他の女と一緒にされたくなかった。

でも、気持ちはトプントプンと浮き立っていた。

「ファーストキス閣下にあげられて嬉しかった」

唇を触って昨日の感触が蘇ってパタパタと手で仰いでいくがその様子をニアに見られていたけども知らないフリをしてニアも知らないフリをしてくれた。お菓子をウキウキで作っていき丁寧に心を込めてお菓子を作っていく。


「閣下に美味しいって言われたい」

「言ってくれますよ。お嬢様」


ニアにも言われて嬉しくなる。閣下にも本当に言われたい。


「閣下〜お待たせしました」

「ああっ…」


リビングに閣下が居なかったので帰ってしまったのかとおもったかけど庭に居ると聞いて持っていき閣下を探したら居て声をかけた。


「閣下、どうぞ」

「ありがとう」


庭にある椅子に2人で横並びに座って閣下に渡す。


「お口に合うか分かりませんが…」

「ナタリー嬢が作ったなら美味しいよ」


笑った顔を見てキューンとしてしまった。

恋愛なんてどうでも良いと思ったけど閣下となら恋愛してみたいけどこんな子供は相手にされないわね。


「いいのよ!私はお菓子作りに走ります!」

「?。あはははは」

「あっ!ごめんなさい。閣下」


本音が出ちゃったから慌てて謝った。


「ナタリー嬢は本当に面白い。見ていて飽きないよ」

「やはりバカにしてます?」

「してないよ。あははは」


閣下、笑いすぎです!と怒ったら今度は閣下からキャンディをもらった。


「閣下!ありがとうございます」

「お礼だ」


閣下の耳が真っ赤だけど何かしら?と思ったけど綺麗な可愛いキャンディを、貰って嬉しかった。


「ナタリー嬢、今度キャンディを作れるか?」

「今度作ってきますね。閣下の為に」


笑って閣下の顔を見たら顔が振ってきてまた唇を塞がれた。


「!!」


閣下だから、密かに憧れている人からの2回目のキス。


「んっ……」

「可愛い、ナタリー」


大きな腕に抱きしめられてさらに深くなるキスに頭がクラクラしてきて気を失いそうになったけど気を失わない様に頑張りました!!

心がポカポカして嬉しかったキスだった。


「ナタリー、また」

「はい。閣下」


閣下を玄関でお見送りして別れた。


「閣下、カッコよすぎて…鼻血出そう…」


鼻を抑えてみたけど出ない。まぁ、出ないよねと思って家の中に入ろうとしたら呼び止められた。


「ナタリー・ハロウ」

「はいっ?」


向いたら元婚約者の隣にいたマリアージュさんだっけ?がいた。


「アイオオ閣下に用があるのかしら?」

「はい?なんでですか?」


なんでこの女にそんな事聞かれないといけないか分からないからスルーしたいと思った。


「トーケイ様の婚約者だったのに!もう、他の男かしら?」

「はぁ?私が誰と恋愛してようと関係ないと思いますけど?」


正式に婚約破棄が通って晴れて独り身になった私にイチャモンつけて暇なのかしら?と思った。


「お菓子作りをまともに出来てから出直しなさい!!」


ビシッと言ってやったらマリアージュだったかしら?文句を言いながら去って行った。

私にとってお菓子作りが大事なのよ!お菓子作りも振る舞うのも好きな私が1人になっていいなって思ってるのね!!


「そして、トーケイって名前だったのね…」


どーうでもいい情報をありがとうってそう思いながら家に入ろうと思ったらグイッと後ろから抱きしめられた。


「なっ…」

「なに?その男の名前…」

「えっ?」


頭の上から知ってる声が降ってきて見上げたら見知ってる顔で真っ赤になった自分が分かった。


「閣下…!!」

「誰?その男の名前…」


どうしてこの名前が男と分かるのか不思議だけど一番の不思議はどうして閣下がココにいるの?


「どうしてココにいるのですか?」

「次に会う約束をしてなかった」


次に会う約束?私と次会う約束をしてくれるのですか?嬉しいです!!


「陛下に聞いてきてと言われたんだよ」

「あっ…陛下ですね」


私のバカ!閣下が小娘の私に会いたいなんて思う訳ないじゃないの。バカね!私。


「陛下だけど俺も参加するよ」

「!!」


“参加する”で心が嬉しくなって婚約者のいた頃より心がガッツリとトキメク。


「お菓子…デザート持参します」

「楽しみにしてるよ。そして先程の男の名前は誰なんだ?」

「元婚約者の名前でしたね」


私にとってどうでもよい情報なのに閣下は厳しい顔をしていたけど私を見て私の頬を触る。


「ナタリー、また」

「はい」


閣下に手を振って閣下が馬に乗って城に帰る。


「わーい!!わーい!!」


ワクワクドキドキしてまた踊ってしまった。


「密かに思っていたけど破棄したのは私にとってはチャンス!!」


ガッツポーズして閣下にアタックしようと思う。

密かに憧れているのが“好き”と変わった瞬間でもあったから勝ち取っていく!!

どう転んでも閣下に「好き」って言える自分になれるといいなぁーっと嬉しくって踊っていた。


「閣下、途中から私の名前呼び捨てじゃなかったかしら?」


閣下からキャンディを貰って眺めていて気付いた。


「閣下!?まさか…」


キャンディの意味は、“あなたがすき”という意味で想像したら顔が真っ赤になってしまったけど

閣下は意味分からずに送ってるわよね…と冷静に考え自分を落ち着かせた。


「いやッ…まさかね。アハハハ」


キャンディを大切に握りしめて今度こそ家の中に入った。


「ナタリー!!おめでとう」

「はい?お父様?なにが?」


リビングに入ったらお父様が喜んで抱きしめる。


「お父様、落ち着いてくれますか?お菓子を焼いてきますからそれから話をしましょう」


閣下から貰ったキャンディを持って一回自分の部屋に置いて再び厨房に行きマドレーヌを作る。


「美味しいって食べてくれると嬉しいわ」


美味しく食べてくれる顔を見ると嬉しくなる。


「……」


元婚約者のトーケイだっけ?あの男は持って行っても食べなかったけどそのお陰で陛下とお菓子仲間になった。


「陛下にクッキーで閣下にはキャンディね」


ウキウキして嬉しくってお菓子作りが進む。

こんなに幸せな気持ちにさせてくれた閣下に

「ありがとう」と言いたい気持ちになる。


「で、お父様?なんですの?」


マドレーヌが焼き上がりリビングに持ってきて座って話を聞く。


「今日はマドレーヌか。嬉しいな」

「本当ね」

「お姉さまのマドレーヌ、大好きです」

「ありがとう」


両親と弟にマドレーヌをお披露目する。

家族は私のお菓子が好きだ。


「閣下の事だ!」

「アイオオ閣下の事?」


閣下にはキャンディを貰ってまた今度って言われて会う…陛下にだけども。


「陛下の謁見がある。だからナタリーもしっかりしていくんだぞ?」

「はい?話が見えないのですけど」

「陛下もお待ちしておる」


お父様に言ってなかった事に気付いたから言ったら驚いていて怒られた。


「お父様…陛下とお菓子仲間です…」

「ナタリー!どうして肝心な事を言わんのだ!」


肝心な事ってお菓子仲間なのだもの。仲間を売るような事言えないじゃないの!って思ってしまった。


「まぁ、とりあえず支度は完璧にな」

「はい」


お父様に「もう、いいよ」と言われて自分の部屋に戻り閣下から頂いたキャンディを手に取る。



「あらっ?」

気づかなかったけど手紙が挟まっていた。


“今度会う時、ナタリーがいいならキャンディを俺に持ってきてほしい  アイオオ”

「閣下!?」


閣下も意味を知ってるの?キャンディの意味を。


「……甘いもの好きだもんね」


そう、冷静に考えたって甘い物が好きだから意味を知ってると思った。

女受けするからきっと知ってるのね…とスンっと心が落ち着いてしまった。


「でも、作るって約束しちやったから作らないとね」


閣下から貰ったキャンディを机に置いてベットに入った。


「………」

私がココに来るのは舞踏会以来よ。

婚約者破棄した以来よと心が荒む。


「さぁ、行くぞ」

「はい」


お父様と一緒に陛下の謁見に行く。

周りはキラキラしていてとても綺麗。


「待っていたぞ。ナタリー」

「陛下、省略させて頂きますわ」

「ナタリー!!」


お父様の顔がまた真っ青になってガタガタ震えている。


「?。私と陛下の仲よ?陛下、クッキーです」

「待っていたぞ。そなたのクッキーは美味しいからな」

「ふふっ。ありがとうございます」

「……」


お父様はずっと黙っていてガクガク震えている。


「お父様、大丈夫よ。いつもこんな感じだから」

「ナタリー、お前…」

「よい。堅苦しいのは嫌いだ。お菓子仲間として気軽にいきたいのだ。アイオオ」

「はっ」


アイオオ閣下の名前が呼ばれてドキッとしてアイオオ閣下が姿を表す。


「ナタリー嬢」

「はい?」


手を差し出されて頭の中は「?」になって閣下が「プッ」と笑った。


「もぉ、手を差し出されても分かりませんよ」

「綺麗なカーテシーは出来るのにコレが分からないとは、あはは」

「もぉ、やっぱりバカにしてますか?」

「いいやっ。可愛いと思ってる」


また、そういう心にもない事を言って!と思ってるけどトプントプンしちゃう。


「ナタリー嬢はこっち」


と閣下の隣に移動されて訳の分からない状況。


「アイオオ、大事にするんだぞ?」

「はい。陛下に誓って」

「!!」


陛下に誓って?これってまさか…とお父様を見たら涙を流していた。


「ナタリー嬢」

「はいっ?」


声が裏返ってしまい閣下を見たら膝まついていて手を差し出していた。


「ナタリー・ハロウ嬢。そなたを陛下に誓って。そなたに誓って、幸せにすると誓う。一生共にいると誓う」

「………」


求婚されてるー!!どうして?私どうして

アイオオ閣下に求婚されてるのー??


「ナタリー嬢、返事がほしい」

「返事?」


返事って…アイオオ閣下は好きだけど婚約者になるなんて!傷物の私にアイオオ閣下が傷がついちゃう!!


「閣下…ごめんなさい!」

「ナタリー?」


そう言ってその場を逃げ出してしまった。

閣下との婚約者なんて…閣下に傷がついちゃう!それは阻止しなければならない!!私は独り身でお菓子作りが優先って決めたのに!!


「ここはっ?」

ザアッーと風が吹き抜けて草原が揺れる。


「閣下は好きだけど…閣下に傷がついちゃう」

「ならそう言って欲しかった」


ボソッと言ったのに後ろから聞き慣れた声が聞こえて慌てて振り向いたら閣下が居た。


「閣下…」

「俺が好きか?」


そう言われて頷く。


「傷はつかない。俺は気にしない」

「私が気にします!私は破棄した人間ですよ?

お菓子作りが好きなんです!!」

「うん。それで?」


閣下が離れていたのに一歩一歩近づいてくる。


「お菓子作りの仲間で陛下がいます」

「そうだね。妬けるよ」

「閣下を無下にしちゃう」

「時間を、見つけて愛おしい婚約者に俺が会いに行く」

「私は…」

「もう、終わり?」


私の両頬を包んで優しく頬にキスをしてくれて涙が流れる。


「私の優先は…閣下じゃないですよ?それでも…」

「俺の優先は愛おしい婚約者になるナタリーになるから問題ないな」


閣下がどこまでも私を包んでくれる。


「閣下、お約束していた物です」


閣下に笑って渡す。


「“あなたがすき”だな。俺も好きだから婚約者になってほしいと願ってる」

「傷ついても知りませんよ?周りに言われちゃいますよ?」


閣下が私を胸の中に入れてくれて抱きしめてくれて私も背中に手を回す。


「閣下…アイオオ様、大好きです」

「俺もだよ」


目を閉じてアイオオ様の優しいキスを受け入れてキツく抱きしめる。


「本当に、優先はお菓子作りですからね」

「あははは。婚約者の俺が会いに行くよ。俺も

お菓子仲間になろうかなぁー」

「なりますか?まだ、私と陛下だけなんです」


笑って言ったらアイオオ様の顔がブスッーと頬が膨れてまた唇を塞がれた。


「んっ…」

「ナタリーはもう俺の婚約者なんだからな」

「アイオオ様、陛下にヤキモチですか?」

「そうだよ。俺も仲間に入るからな!」

「はい」


お菓子仲間が増えて嬉しい。


「そう言えばアイオオ様」

「?」


気になる事があった。


「アイオオ様はどうして私を婚約者にしてくれたのですか?」

「…一目惚れだ」


お菓子をくれた?誰にでもあげてるから全然覚えてない。


「城で、陛下の側にいた時に謁見で一目見て好きになった」

「えっ?」


私、アイオオ様が側に居たの全然覚えてない!!思い出せ〜自分って思っても思い出せない。

アイオオ様が見えたらきっとド緊張して陛下と上手く喋れてないと思う。


「陛下に渡してるお菓子を貰って食べて更に好きになった」


陛下にあげていたのはクッキーとかだったのに!自分、もっと良いのあげれば良かった!!


「ナタリー?」

「閣下!なにが良いですか?私、腕を奮います!

パイとか…」

「なんでもいいよ」


頬にキスをしてくれた。


「これからはなんでも食べれる。どんな種類のお菓子も食べれるんだからな」


そっか。閣下と婚約者になったからどんな種類のお菓子もドーンと来い!!って事ですね!


「閣下…」

「んっ?」


閣下の服をグイッと引っ張って閣下の頬にキスをした。


「私も閣下を、お慕いしておりますよ」

「ナタリー!!」


閣下は嬉しかったらしく私をお姫様抱っこした。


「きゃあ」

「俺の麗しい、愛おしい婚約者のナタリー。城に戻りますか」

「あっ!そうだわ。私…飛び出して来ちゃった」


飛び出して来たのを思い出した。


「振られたと思ってビックリしたよ」


「だって…閣下に傷がつくって思ったんだもん」

「傷は気にしない。ナタリーがつけてくれるなら喜んで受け入れる」

「閣下、優しくって大好き」


首に手を回して抱きしめる。


「ナタリーは可愛いな。受け入れてくれてありがと」

「閣下、私の方こそありがとうございます」


お菓子仲間になってくれて私の趣味であるお菓子作りを止めないでくれて嬉しいです!!


よーし!!これでお菓子作りが優先出来るー!!

あっ…閣下の事も忘れないですからね。


そして、舞踏会にまた行って婚約者として紹介されてどうでもいい情報を仕入れた。


「はっ……」


元婚約者はマリアージュさん?と無事婚約したと聞いた。本当。どうでもいい情報よ。


「ナタリー」

「はい。今行きますわ」


舞踏会の一角に私の作ったお菓子が密かに並べられて行くのは私は後で知る事になる。

もちろん、アイオオ様が陛下に言って即決したと聞いた。


「今日はなんだ?」

「バームクーヘンです」


今日はバームクーヘン。私もとても大好き。


「意味は?」


額にキスをしてくれてくすぐったい。


「“幸せが重なり長く続きますように”です」

「今も幸せなのにもっとか」

「はい。アイオオ様」


ずっと幸せが続きますように。

そして、勝ち取った私の恋…これは一生モノ。

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