第43話 キツネとツル?

 むかしむかし、あるところに、キツネとツルが住んでいました。


 ある日、キツネは美味しいスープをどっさりこさえ、作り過ぎたことを悔やんでいました。食べきる前に腐ってしまいそうです。もったいない。それくらいなら、誰かに振る舞いましょう。


 ということで、キツネは近所のツルを招待しました。キツネは平たいスープ皿にたっぷりとスープを盛り、ツルに供しました。


「あー、飲みづらいなあ。」


 ツルはくちばしが長いので、平たいスープ皿から飲むのは難しいのです。


 ツルがカチカチとくちばしとスープ皿をぶつけて苦労するのを見て、キツネはさっと立ち上がり、何かを持ってきました。


「ごめんごめん。ストローならあるけど、使う?」

「ありがとう、使わせてもらうよ。」


 ツルはキツネから長いヨシの茎を貸してもらい、ずずーっとスープをすすりました。


「悪いねえ、折角のご馳走をジュースみたいに飲んじゃってさ。お行儀は悪いかもしれないけど、このスープとても美味しいよ。」

「そうか、良かった。お行儀なんて、二の次さ。たっぷりあるから、好きなだけ食べておくれ。」


 こうして2匹は仲良くたらふくスープを平らげました。


 それからしばらくして、今度はツルが台所で唸っています。スープを作り過ぎたのです。食べきれずに腐ってしまいそうです。


 そうだ、キツネにお返しをしよう、とツルは思い立ち、キツネを家に招待しました。ツルは細長い花瓶のような器にスープをたっぷり入れ、キツネに差し出しました。


「あ、しまった。そんな細長い器だと、飲みづらいよね。」

「手で持って飲むから、大丈夫だよ。」

「その器、重いでしょ。ちょっと待って、ストロー貸すから。」


 ツルはキツネに長いヨシの茎を渡しました。キツネはそれを使って、ずずぅとスープをすすります。


「ストローでスープっていうのも、新鮮だね。美味しさが増すよ。」

「お行儀は悪いかもしれないけど、そんなのは二の次だよね。」

「ふふふ」


 二人は仲良く笑って、たっぷりのスープを飲み干しました。

 本当に、ストローって便利ですね!めでたし、めでたし。

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