第23話
小百合ちゃんは、お人形のような笑顔をして去って行った。
それから少しして優樹君と美玲ちゃんも私達の所に戻ってきて言った。
「僕達は、もうそろそろ行くね。じゃあね菊地さん、蘭」
優樹君はそう言って、またいつもの爽やかな笑顔を振りまいてく。
美玲ちゃんはまた、しっかりと優樹君の腕に抱き付く。
「行こっ優樹君」
「うん」
それから美玲ちゃんは一瞬だけクルッとこっちを向いて「フフッ」と笑った。
―――屋上―――
あれから私達は屋上に来た。
「あ゛ぁー!ムカつく!あの女!」
蘭ちゃんは屋上に来るなり、すぐに美玲ちゃんのことを愚痴り始めた。
「まぁまぁ…蘭ちゃん…」
「だって!…美穂ちゃんはムカつかなかったの!?あんなに言いたい放題言われて!第1、美玲は元々調子こきすぎなんだよ!家が金持ちだからって!」
「…えっ!?美玲ちゃんの家って、お金持ちなの!?」
「そーだよ!?知らなかったの!?」
「だって…私、こないだまで美玲ちゃんのこと自体知らなかったんだもん…」
それから私が蘭ちゃんの話で分かったのは、美玲ちゃんの家は、お父さんが大会社の専務をやっていて家は相当なお金持ちなので小さい頃からたくさんの習い事をさせられているために何をやらせても完璧なんだという事が分かった。
「へぇ…そうだったんだ…」
「あっ!そうそう!さっきの小百合ちゃんのお父さんも美玲のお父さんと同じ会社で働いてて立場も近いんだって」
「ウソ~!?」
「ホント。だから同じ年頃の娘を持ってる同士って事もあると思うんだけど美玲のお父さんと小百合ちゃんのお父さんは仲がよくて美玲と小百合ちゃんは昔から同じ習い事させられたりしたんだって」
「そうなんだー…じゃあ美玲ちゃんと小百合ちゃんは幼なじみって事?私と青山君と蘭ちゃんみたいに?」
「まぁ…そういう事になるよね。でも、あの2人は私達とは違うんじゃない?美玲は小百合ちゃんのことが思いっきり苦手?みたいだし(笑)」
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