第80話

振り返ると、そこには淳一くんがいた


「聖歌ちゃん、何でここに!?」


「…あ、ちょっと優也に用があって……、ていうか淳一くんこそ、何でここに!?」


確か、淳一くんはスポーツ系の専門学校に通っていて、優也とは別の大学だった筈だ


「俺は、これからコイツらと遊ぶ予定だからさ」


そう言って、淳一くんが見た方向には、気まずそうに私を見る哲くんと智輝くんがいた


「…あ……」


私は、気が付いたら、二人の目の前へ行って、頭を下げていた


「この間は本当にごめんなさい!私、思わずカッとしちゃってあんな事……」


すると、二人は驚いたように口々に言ってきた


「い、いや、俺の方こそ……悪かったと思ってる……」


「……俺も少し悪乗りし過ぎたなって」


「……本当にごめんなさい………。……あれから風邪とか引かなかった?」


私がそう問い掛けると、満面の笑みを浮かべた、淳一くんが割り込んできた


「大丈夫!大丈夫!コイツらバカだから、あの程度で風邪とか引かないから!それにさ哲は由香ちゃんの事が好きだから、つい優也に向かってあんな事言っちまっただけだし、智輝も口が悪い現実主義者ってだけで、別に二人とも優也の事バカにしてる訳じゃないんだよ。確かにフリーカメラマンってのは、なるのは簡単だけど、それで食べていける人はごく一部っていう安定しない職業なのも事実だからさ……」


「おい!淳一!」


自分の好きな人をバラされた哲くんは、慌てて淳一くんを止めに入った


「……そうだったの………?」


私がそう問い掛けると、哲くんはバツの悪そうな顔をして呟いた


「……あぁ、……由香の事はパーティーで初めて会った時からいいなって思っててさ……、でも、当の由香は、俺と喋ってても、LINEしてても優也の話ばかりで、ちょっと腹立ってさ……。まぁ、あいつは顔も性格も良いし、惚れるのは分かるんだけどさ。……それにあいつは、あんだけ周りに反対されても変わらない位、強い夢まで持っててさ、そこは俺らも尊敬してる……、なぁ?」


そう言って、隣りにいる智輝くんに相槌を求めた


「……あぁ、……歳も俺らと変わんねーのにな……」


智輝くんがそう言い終えたのを見計らって、淳一くんは、今までの話をまとめるように言った

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