第52話
…悔しい……
悔しい……
別に自分の夢の事を言われた訳じゃないのに、何だか自分の夢までバかにされた気がした……
そう思うと、何故か目から涙が溢れてきた
喫茶店の近くの路地裏で泣いていると、後ろから優也の声が聞こえてきた
「聖歌!」
…あんな空気を壊す、最低な事をしたのに、追いかけてきてくれたんだ……
私は、悔しさと嬉しさが入り交じって、更に涙を流した
優也は私に気が付くと、私の後ろに立って、小さく名前を呼んだ
「……聖歌」
その声に、私は自分の感情を抑える事が出来なくなった…
「…どうして……どうして!?何で、皆、あんな事言うの!?悔しい……悔しい!だって優也、かっこよかったじゃん!いつもの何倍もかっこよかったじゃん!全然恥ずかしくなんてなかったじゃん!なのに何で、くだらないとか言うの!?バかになんてすんの!?優也はなれるもん!海外で活躍する、すごいカメラマンに絶対、絶対なれるもん!なのに何で、あんな事言うのぉ……?……悔しい……悔しいよ……優也の夢をバかにする人は私が絶対に許さない……」
そう言って、優也に詰め寄った
言い終わったと同時にまた涙が溢れてきた
今となっては、全然言葉になってないし、意味分かんないし、何て恥ずかしい事を言ってるんだろうと思う…
けれども、この時の私は、優也の大切な大切な夢がバかにされた事が悔しくて、そこまで頭が回ってなかった
感情的になっている私とは裏腹に、優也は優しく私を抱き締めて言った
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