第47話

それから私達は近くの喫茶店でお茶をしていた


この喫茶店で優也と合流する事になっている


間もなくして優也が現れた


「おまたせー、遅くなって悪かったな」


「そーだぞ!おせーぞ!優也!」


「優也くん、おつかれー!」


「…あっ」


私も「おつかれ」って言おうと思ってたのに、由香に先に言われてしまった


優也に聞きたい事、話したい事は沢山ある


でも、話すのが下手な私は、それを言葉に変換するのに時間がかかった


私が一生懸命、頭の中で言葉を組み立てている間も、優也は由香に向かって笑いながら言った


「ありがとー由香ちゃん。てか、わざわざ来てくれたんだ。なのに全然構ってあげられなくてごめんねー」


「そんなの仕事なんだから仕方ないよ!それより優也くん、マジでかっこよかった!この間もかっこよかったけど、今日はこの間と全然違って!改めて惚れ直しちゃったー!」


「マジでー!?そんな事ないと思うけどなー、でもありがとー!」


そんな二人の会話を後目に、私は相変わらず言葉を考えていた


……いいな、由香は


言葉が次々に出てきて


優也もすごく楽しそう…


やっぱり、優也だって、こんなろくに会話も出来ない私なんかより、明るい由香みたいな子が良いのかな……?


そう思い、肩を落としながら、優也と由香を交互に見ていると、優也と目が合った


その瞬間、優也はいつものあの優しい笑顔で私にだけ笑いかけてくれた


その笑顔は“聖歌も来てくれて、ありがとう”って言ってくれているみたいで、凄く凄く嬉しかった―――

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