黄薔薇
第1話
わたしたちの愛は環視されている。
*
今、わたしはコンピュータの音声認識機能に向かって語りかけている。それを、見られている。聞かれている。
けれどわたしは気にも留めずに話している。そして、言う。「わたしたちの愛は環視されている」と。
わたしの言葉はわたしのコンピュータに残り、人々の脳を通過する。それでも構わず語り続ける。わたしの言葉は文章として記録され、インターネットの海の中を漂うだろう。わたしがコンピュータにそう命じたからだ。他人にこれを読ませて、どうするかということは考えていない。訴えたいことがあるわけでもない。ただぼんやりとしたつぶやきのようにこれは受けとめられるかもしれない。それでもいい。わたしの目的などどこにもない。ただ、最後まで読めば、わたしがどういう人間で、どういうことを考えていたかはわかるかもしれない。気になるならば最後まで読めばいい。そうではないならここでこの文章を切り捨てても構わない。
*
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます