第6話

平井秀知は、咲のいる病室を後にした。


「平井さん、今、石田さんにおかしなことしてなかった?」

「別に。石田さん、いつもいびきかいてるのに、今日はかいてなかったから、呼吸音、確認しただけ。」

「確かに。」

見られてるのが倉藤さんで良かった。斉藤さんだったら、まじ、やばい。


「平井君!平井君!」

「なあに?石田さん。」

「昨日いい夢見たの。誰かが優しく包み込んでくれる夢。」

「いい夢だね。」

「うん!私にも彼氏、近々できるのかな。」

「できないよ!石田さん、いびきうるさいから。」

「もうっ。ひどい!」

できないなんて嘘。石田さんを誰にもとられたくない。今すぐ抱きしめたい。でもできない。クソッ。


「退院の時間だね。」

「うん。またね!」

「またね。」

行っちゃった、、、。看護師としてまたねなんて言っちゃいけないのに言ってしまった。石田さんにとっては入院しないのがベストなんだけど、また会いたくて、つい、、、。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る