第12話

 何度か会ううちに、裕介がやっと美奈子に告白をして2人は付き合うようになった。

 それでも紳士的な裕介は、美奈子に対してキスまでしかしなかった。


「みなちゃん。来月のクリスマス、良かったら僕の部屋に来ない?」


 裕介の言葉に美奈子はドキッとする。

 やっと部屋に招待してくれるんだと思った。


「うん!でも先に裕介君の誕生日お祝いしないとね!」


「じゃあ、それも、僕の部屋で、祝ってくれる?」


 本当は、自分の誕生日にも美奈子を部屋に招待したかったが、催促をしているようで言い出せなかった。


「う、うん!裕介君の部屋、行ってみたかったから」


「凄く狭いよッ!部屋の中は本だらけだし、今、片付けてる最中なんだッ!」


 美奈子を呼べなかったのはそれもあった。

 学校で使う教材やプリントで部屋の中は凄いことになっている。


「みなちゃんが来るまでに、ちゃんと片付けておくから」


 人通りの少ない場所だったせいか、裕介は美奈子の肩を抱くと、美奈子に軽くキスをした。


「本当はクリスマスもどこか旅行とか、連れて行ってあげたかったんだけど、仕事で予定が取れないんだ。今年は我慢してくれる?」


 優しく抱きしめながら裕介は言う。


「うん。って言うか、裕介君の部屋に行ける方が嬉しい。早く裕介君の誕生日来ないかな」


「みなちゃん。ありがとう。あー。本当はこのまま、連れて行きたいな」


 ギュッと力を入れる裕介。


「…………部屋、汚れてても気にしないのに」


「すっごく汚いよ。ベッドの上しか綺麗じゃないよ」


 裕介の言葉に美奈子はドキンとする。


「あ!そのッ!変な意味じゃなくて!ベッドは、ちゃんとシーツもみんなしょっちゅう洗ってるって事だからねッ!」


 慌てる裕介が可愛くて、美奈子は抱きしめられながら笑ってしまった。


「…………連れて帰っても良い?部屋の中汚くても幻滅しない?」


「しないよ。裕介君のこと、大好きだもん」


 美奈子の言葉に裕介はホッとしながら再びキスをする。


「じゃあ、行こっか」


 笑顔で裕介は美奈子と手を繋ぐ。

 美奈子も恥ずかしがりながら笑顔で裕介の手を握った。

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