第6話
その翌年の4月下旬に、千秋と美紅は全ての人に祝福され結婚式を挙げ、新婚旅行はゴールデンウィークも使ってヨーロッパを堪能した。
そして新婚生活は順調に始まり、美紅は流石に千秋と同じ部署での仕事は無理になり、千秋から提案され、企画の仕事が出来る支店へと異動の希望を出した。
そして今までの仕事が認められて、希望通りの支店へとの異動となったのだった。
「マジか、お前たちも結婚かよ!」
千秋の小学校時代から付き合いのある岡崎満也から、やはり小学校の時の同級生だった、堺真知子との交際を実らせて結婚すると言う知らせが入った。
『招待状送るからさ。俺はお前と成田を招待するけど、真知子も付き合いのある奴を招待するって言ってた。塩谷と中橋と川瀬を呼ぶって言ってたよ。お前覚えてる?』
川瀬という苗字を聞いてドキッとする。
川瀬美奈子。
千秋が初めて、これが恋なんだと意識した、小学生の時の初恋の相手だった。
好きだと告白する勇気もなく、小学、中学時代を経て、高校から別になると、もう会うことは一切なかった。
「川瀬は覚えてる」
つい正直に返事をしてしまった。
『川瀬、小学生の時からずっと可愛かったもんなー!真知子が川瀬の結婚式に行ったんだけど、写真見たけど今もすげー美人だぜ』
美奈子が結婚したと知り、千秋は何故か胸がズキッとした。
「へぇ。結婚したんだ。川瀬なら、相手に不自由しないか」
返事をしながら、何故か千秋は落ち着かない。
初恋の相手が、今どんな風に変わっているのか知りたくてたまらない。
成人式でチラッと姿は見かけたが、千秋は中学時代の男友達と固まってしまって、女子とはほとんど会話が出来なかった。
自分も結婚している身だったが、美奈子の結婚を聞いてもう人の妻なんだと思うと、千秋はどうしても寂しさを感じてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます