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「髪乾かすの、時間かかるんだな」
乾かし終わると、來斗が聞いてきた。
いつも20分以上はかかる。
「髪長いしね。でも、慣れたよ」
私はベットに寝転んだ。
「來斗、まだ寝ないの?」
「寝るけど、本当に同じベットで寝ていいのか?」
「いいよ?」
來斗は「はぁー」と、ため息をついて、ベットに寝転んできた。
50cmぐらい、隙間が空いてる。
「早く寝ろよ」
「來斗こそ」
お互い見つけあってるせいか、寝ようとしない。
「おやすみ」
私は反対側を向いた。
これで寝れる。
「おやすみ」
いつの間にか私は眠りについた。
「うちの子は、この2人だけよ」
「お前はでていけ」
あれ、これ夢だよね?
昨日と同じ光景だ。
ううん。
違う。
ドアの向こうに美羽もお兄ちゃんもいる。
2人して、こっちを見て笑ってる。
「早くでていけ!」
「あなたなんて、産まなきゃよかったんだ!」
産まなきゃよかったって、私だってこんなとこに産まれてこなきゃよかったって、思ってるよ…。
次々に暴言を吐いてくる、両親。
お願い…
それ以上言わないで…
段々と自分の呼吸が荒くなってきた。
息が…
苦しい…
誰か…。
「…い、…おう…」
誰かの声が聞こえる。
「美桜!!大丈夫か!?」
目を開けると、來斗がいた。
「ハァ…ハァ…ら、いと?」
「大丈夫か?すげーうなされてて、苦しそうだったけど」
こんな酷い夢を見たのは、初めてだ。
今まで見たことあっても、暴言ばっか言われるのは…。
來斗は水をとってきてくれた。
「ありがとう」
水を飲むと少し落ち着いた。
「ホントに大丈夫か?」
「うん。夢見てただけだから」
「そうか。寝れるか?」
寝てもう一度あの夢を見るのが怖い。
けど、寝れないって言うと來斗も起きてそうだし。
「うん」
「本当か?」
「うん」
寝れると思うけど寝たくないだけ。
來斗は横に転がって、私の手を握ってきた。
「來斗?」
「安心して寝れるようにだ」
「何それ(笑)」
結局、來斗の方を向いて寝ることになったけど、來斗に手を握られてるからか落ち着いて、眠った。
夢は見なかった。
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