第21話

「ナオ、キスしたい」


いきなり海斗が。一樹さんも俺もって。


「恋人同士になって、初めてのキスしたい。槙さんは⁉」


「海斗、一樹でいいよ。呼び捨てで。ナオの前では、対等でいたい」


ぐいぐいと、二人が迫ってきて。

もうこうなったら、なるようにしかならない。傷口が万一、開いても、ここ病院だし。

うん。キスする。

二人と恋人同士になった証に。


目を閉じると、すぐに、海斗のつるんとした口唇が重なって。つぎに、遠慮しがちに、一樹さんの薄い口唇が重なった。


「ナオ、大好き」


「俺も」


一旦、離れたもの、すぐに、また口付けされ。


「うっ・・・ん!ん!」


い、息出来ない。

く、苦しい。

息を吐く間もなく、舌に二人のが絡まってきて。どっちかの手が、パジャマのスボンの中へ滑り込んできて。


だ、だめ!

個室だけど、だめ。

その時、扉が開く音がした。


「一樹さん、なにやってんですか!」


静かな病室に響き渡ったのは、橘内さんの声。ものすごく、怒ってる。


「当選早々、失職するつもりですか⁉場所をわきまえて下さい」


びしっと言われ、一樹さん、項垂れてた。

海斗も、ごめんさないって。


橘内さん、やっぱり凄いかも。

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