第39話

大泊瀬皇子おおはつせのおうじも、自身の姉が宮から居なくなってしまったため、さすがに動揺を隠せないでいる。


(大泊瀬皇子も、自身のお姉さんが居なくなると、やはり心配するものなのね……)


そんな皇子を見て、韓媛からひめも少し罪悪感を感じる。だが軽大娘皇女かるのおおいらつめの事は流石に皇子には話せない。


だが宮の人達も、彼女が木梨軽皇子きなしのかるのおうじの元に行ったのではと、薄々感づいているようだ。



そして翌日は、1日中軽大娘皇女の捜索が行なわれる事となった。だが結局彼女の事は見つけられずじまいとなった。


韓媛に関しては、さらにその翌日に大泊瀬皇子が葛城円かつらぎのつぶらの元に送り届けた。


葛城円も軽大娘皇女の話しを聞いて、同じ娘を持つ親として、ひどく同情していた。


(お父様も、相当な衝撃を受けられたみたいだわ……)


韓媛もそんな父親を見て、余り父親を心配させるような行動は、今後は出来るだけしないようにしようと決めた。




そしてその後に、いよいよ大和の新たな大王が即位する事が決まった。


それは大泊瀬皇子の兄である穴穂皇子あなほのおうじである。


また穴穂皇子は、大王に即位すると同時に、新たな自身の宮として、石上穴穂宮いそのかみのあなほのみやを建てる事にした。


こうして新たに大王が決まった事により、当分の間、大和もとても慌ただしくなる事だろう。


韓媛も父親のつぶらと一緒に、これからの大和がどうなっていくのか、色々と思いを巡らせる事となった。

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