第44話

「ところで収穫祭は無事に終わったの?」


「えぇ、問題なく終えたわ。大王も皇子も、無事に参加されて」


それを聞いて佐由良は安心した。

自分でせいで収穫祭が行われなくなったとなれば大問題だ。とても謝って済まされるものではない。


「そう、それは良かった。

それと皇子には、私の無事の事を伝えてくれない」


(皇子にも酷く迷惑をかけてしまったし、とりあえず無事だった事だけでも伝えないと)


「えぇ、もちろんそれは伝えるわ。ただ今の感じだと、あなたに会わせる顔は無いでしょうね。それぐらい思い詰めてる感じだったから」


(あの皇子がそこまで追い詰めるなんて、本当に意外だわ……)


「分かった。私が動けるようになったら、直接会いに行けるようにお願いしてみるわ」


それを聞いた胡吐野はふと思った。


(これは、佐由良には内緒にして欲しいと言われてたけど。

皇子は佐由良が意識を失ってから、中々彼女の側を離れようとしなかったのよね。それを必死で説得して、何とかご自身の部屋に戻ってもらったんだから)


「とりあえず、今はしっかり休んで、療養に専念する事。分かったわね」


「えぇ、分かった。そうするわ」


こうして1ヶ月もの間、彼女は体を休める事にした。

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