第25話

瑞歯別皇子みずはわけのおうじ住吉仲皇子すみのえのなかつおうじを射ちました。これがその時に使った刃物です」


刺領巾さしひれは瑞歯別皇子に刃物を見せた。

刃物には人の血が着いている。


皇子はその刀を手にとってまじまじと見た。


「これは住吉仲皇子の血で間違いないのだな。刺領巾よくやってくれた」


刺領巾も「間違いないです」と答えた。


これで自分は大臣になれる。

そう刺領巾が思いを巡らせたその時だった。


瑞歯別皇子が素早く自らの剣を取り出して、刺領巾を刺した。


「お、皇子何故私を……」


「ふん、簡単に主君を裏切るようなやつは信用出来ないからな!」


彼はそう言って、刺領巾をさらに数回斬った。


「く、くそー!」


刺領巾はそう言いながら、その場でもがき苦しんだ。


(結局は私も利用されてただけだったか...)


こうして住吉仲皇子同様に、彼もそのまま死んでしまった。



刺領巾を殺した瑞歯別皇子は「ふぅー」と言ってそのままその場を後にした。

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