*戒Side*

第328話


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** 戒Side **


ミラーハウスは10分に一人ずつ入場と説明されて、怖がりな朔羅は「やめておこう」と言い出すと思ったが、


「お前先行けよ。ちょっと進んで待ってろ。俺と合流しようぜ」


と提案すると、素直な朔羅はすぐに「うん」と頷いて、スタッフに促されながらも中に入った。


別に本気でミラーハウスに入りたかったわけじゃない。


ただ、雨宿りの場所が欲しかっただけだ。


ミラーハウスに入る必要性もないが、本来なら客たちが並ぶ列で、アトラクションにも入らず二人で雨が上がるのを待っている、と言うのは流石に悪い気がしたから。


黒いフードとマントを被ったスタッフも暇そうにしてるしな。


てか顔がすっぽり隠れてるから表情がまったく読めんけど。


早く10分経たないかな~…イライラと腕時計と睨めっこしていると


「彼女が心配ですか?」


と、フードの男(?)だよな、声は間違いなく男だ。が聞いてきて


「そりゃ……」と言って顔を上げると


フードの奥でスタッフがうっすら笑った気配がした。


いや、実際声に出してないし、黒いフードで表情も全く読めないが。


「10分経ちました。お客様、どうぞこちらへ」


と、朔羅が入って行った入口に促され


中に足を踏み入れるとすぐに小さな円形の小部屋みたいな所で


『ようこそミラーハウスへ。ここは無限に広がる鏡の世界。


君は無事この迷路を出られるかな』


と、男の声でアナウンスが聞こえた。


照明も暗いし、アナウンスも声もおどろおどろしい。


お化け屋敷路線を狙ってンのか?


まぁミラーハウスってどっちかって言うとソッチ系だしな。と思っていると




『さぁ行くがいい。


もう後戻りはできない』




アナウンスはそう続けて、その声が途切れると円形の部屋の一部の扉がギギっと不気味な音を立てて開いた。


入ってきた入口の方を見やると、当然ながら扉はしっかりと閉まっている。


後戻りはできない―――か。ま、戻る気もないけどな。



なら、


進んでやるよ。

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