■□ 死 角 □■

事件簿

第5話

■事件簿

２０ＸＸ年　７月　１６日

東京都品川区

ネイリストの白川 奈美さん（当時２２歳）が自宅マンションで絞殺され死亡しているのが発見された。

凶器は固いロープのようなもので、部屋の隅に置かれた姿見の鏡に奈美さん自身の持ち物と思われる口紅で“Ｌ★”と書かれていた。

同年　１０月２９日

愛知県名古屋市

飲食店勤務の津田 典子さん（当時２３歳）が自宅マンションで刺殺されていたのを、同マンションの友人が発見。

凶器は鋭利な刃物と思われるが未だ発見されず。

犯人が残した唯一の証拠は津田さんのものと思われる手鏡に残された、津田さん自身の血液で書かれた“Ｌ★”の文字のみ。

翌２０ＸＸ年　２月７日

北海道釧路市

専門学生、皆川 友恵さん（当時２１歳）が自宅マンションで、当時恋人だった男性により遺体で発見される。死因は毒殺。皆川さんが死の直前に飲んだと思われるインスタントコーヒから猛毒の殺虫剤成分が検出された。

洗面所の鏡に皆川さんと思われる口紅に“Ｌ★”の文字が残されていた。

二年の間に三件もの殺人事件が起こっている。これらの共通点は被害女性が２０代前半と若い年齢であり、マンションまたはアパートに一人暮らしだったこと、そしてその犯行現場の鏡に残された“Ｌ★”の文字。

さらに被害者女性の共通する容姿として、長い黒髪。身長は１５０㎝と小柄でやせ形。

警視庁捜査一課では連続殺人犯“Ｌ”と言う名が付き、未だ犯人を特定できていない状況。

それから五年―――

事件は未解決のまま闇に葬られようとしていた。