第21話


「朔羅さん…」



「何だよ?」



「って呼んでもいい?苗字同じだし。従姉弟なのに苗字で呼ぶのは変だしね」



気安く呼ぶんじゃねぇ!!



って怒鳴りたかったけど、止めた。



こいつは、何か生気吸い取られるんだよなぁ。怒っても無駄って言うか……



何かやる気が失せる。



と言うか、こいつの纏う空気が……全く読めねぇんだよな。







こんな男初めてだ。







そんなことを考えながらぼんやりと窓の外を眺めていると、



「朔羅さん」



ふいに名前を呼ばれた。



面倒くさそうに振り返ると、すぐ近くにメガネの顔があった。



柔らかい髪の先が頬に当たるぐらいまで。



じっくり見るとこいつ……



相当整った顔してる。やっぱり美少年……



って…





「な!?何近づいてんだよ。ぶっ殺されてーのか!!」




そんな考えを否定するためにあたしは今発揮できる懇親の力で怒鳴った。




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