第2話


「お嬢!おはようございます。お勤めオツトメ(ガッコ)の時間じゃ?」



縁側を通りかかった、政義まさよしもといマサがあたしに声を掛ける。



あたしはぐりんと振り向くと、顔を青くしてマサに飛びついた。




「おい!マサぁ!!!あれほどバラしたら、ちゃんと始末しとけって言っただろ!?」



あたしがマサの胸座を勢いよく掴んだので、首を絞められたマサは苦しそうに咳き込んだ。



「は?バラすって…俺らは殺しはやってませんよ!!」



「じゃぁあの死体は何なんだよ!?」



「死体?どこに?」



マサはあたしの頭の上からきょろきょろと辺りを見渡した。



「あのぅ…お嬢、死体なんてどこにもありやせんが…」



「はぁ!?お前の目ん玉は腐ってんのか?」



「いえ…ホントに」



「あたしはこの目で見たんだよ!桜の下に死体が転がってるのを」



あたしは振り向いて、桜の下を指差した。





「ほら!!確かにあるだろ…?ある…」




筈だった。





だけど、さっき見た死体は跡形もなくきれいに消えてたんだ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る