第82話

思い返せばマイケルジャクソンが亡くなったというニュースで世界中が衝撃を受けた年、私は高校生だった。


一週間前となるとまだ毎日のようにマイケルの死因調査や、追悼番組のニュースばかりやっている頃だろう。




あれって結局何が原因だったんだっけ?


あの頃色々な情報が錯綜していて、何が真実で何が誤りなのかよくわからないまま時が流れてしまったように感じる。



コウはおかまいなしに踊り始め、榛野は隣でおもしろおかしく笑っている。


この時代、AKB48や、西野カナなどはまだ今ほどメジャーではないのだろうから、そう思うと何を歌っていいのか私はよくわからなかった。



「いいなぁ、絵里は。私も早く彼氏欲しい」



榛野が青山テルマの「そばにいるね」を熱唱し終わった後、私の耳元で唇を尖らせてため息をついた。



「・・・榛野は結婚出来るから大丈夫だよ」



そんな榛野に対し、私はどこの霊能者よりも確かな予言としてそう諭した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る