第80話

将暉はいつも誰にでも隔てなく優しいのだ。


それが彼の長所でもあるけれど、今は正直気が気ではない。



「で、でもさ、無理矢理連れてくのはかわいそうだよ」



私は思わずそう口走っていた。



「そうだよ、とりあえず今日のところは4人で行けばよくない?」



私の心情を知ってか知らずか、榛野は私のお膳立てでもするように言った。



「なら今日は5人で行ける所行こうよ」



将暉がまたヒカリをかばうように言う。


彼の人の良さに胸の奥がちくりと痛んだ。




「・・・行きます」


ヒカリが静かに呟く。



「え?」


「カラオケ、私も行く」



そう言ったヒカリはやっぱり将暉を見つめていた。



「お、まじ?じゃあ5人で行こう」



将暉は嬉しそうに笑っていて、私はまた胸の奥が締め付けられるような感覚を覚えた。

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