第55話

私にとっては、これが人生で初めての告白だったのだ。




当然私はガチガチに緊張していて、ただ、彼が“いいよ”と答えてくれた事だけは今でもはっきりと覚えていた。


けれど今さっきタイムスリップしてきたばかりの私にはあまりにも突然すぎて、彼への告白の言葉など考えてもいない。



「・・・また後で言うよ」



とりあえず、少しでも時間を稼ぎたかった。


返事の答えはわかっているとはいえ、誰かに告白するというのには準備と勇気が必要なのだ。



それに、もしあの告白をやり直せるのだとしたらもう少しムードのあるところにしたい。


当時の自分が必死だったのはわかるが、さすがにカフェでお茶を飲みながら告白、というのは絵にならないなぁ、なんて思ってしまう。


これは“2度目”の余裕なのかもしれないけれど。



「なんだよ、てっきり告白でもされるのかと思ってたのに」



本気で言っているのか、冗談で言っているのか、まるで将暉の方も未来を知っているかのような発言に私は少し驚きながらも曖昧に受け流していた。

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