第4話

倉本先輩が連れてきてくれたのは会社の近くの安っぽい居酒屋だった。



「ここ、私の行きつけ」なんて言って、これまた安っぽい暖簾を慣れた動作でくぐる。僕は正直拍子抜けした。だって倉本先輩だよ?もっとおっしゃれ~なイタリアンとかフランス料理とか、似合いそうなのに。



「ビールでいいよね、いける?」と倉本先輩はメニューも見ず、ビジネス口調で言って僕は慌てて頷いた。



最初は何を話そうか、そわそわと落ち着き無かった僕だが、倉本先輩はその日良く喋った。



アルコールは強いのか、生ビールを4杯、焼酎ロックを3杯、ウィスキーのロックを二杯いったところで、珍しく倉本先輩は愚痴をこぼした。



「知ってるわよ、私が会社で嫌われてるってのは。キミの同僚も噂してたでしょ」



と同意を求められ、僕は頷いていいのやらいけないのやら。



「上司はねー、経費削減できないのかってあれこれ言って来るし、新人は育たないし。私の指導がいけないんだって言われるし」



あーもー……



と言いながらうな垂れたこうべから、またもほつれ毛を発見。酒の力もあるのだろうか白い首がほんのりピンク色。



凄く―――色っぽい。



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