第48話
生まれてこの方赤点を取ったことは無いけれど。
負けず嫌いと言いますか、何でも完璧に出来ないと納得出来ない性分なもので。
「以上。質問あるか?」
真島先生は説明を終えてクラスを見回すけれど誰も何も言わない。
「じゃ、ホームルームを終了するか」
軽く応援の声を掛けて、真島先生は日直に号令を促した。
真島先生が教室を出て行ってしまうとクラスメイト達が話し出す。
皆学力テストの話ばかり。
「……礼奈ちゃ〜ん!!勉強、教えてー!!」
そんな必死になるほど学力に問題があるのでしょうか。
「生徒会の方々に教えて頂いては?」
何故私にお願いするのでしょうか。
「え?だって皆は真面目に教えてくれないもん」
まあ、それは何となく分かります。
「……理紗、教えてあげたら?」
「礼奈、面倒臭いからって私に振らないで!私よりも頭いいんだから教えてあげなよ」
嫌よ。
私の自由時間が減るじゃない。
「お願いー!!」
うるさいです。
「ほら、今にも泣きそうな顔でお願いしてるよ?」
「自分で勉強すればいいでしょう。そんなに難しいというわけじゃ無いと思うわよ?」
「無理無理無理!!僕一人じゃ分かんないもん」
……駄々っ子ですか?
陽奈だってそんなに駄々捏ねませんよ。
「あー!!礼奈が虐めてる♪」
楽しそうに指差して言わないで欲しいわ。
「傍観している理紗が一番達が悪いのでは?」
「ウッソ!私?……だって私馬鹿なんだもん…」
「否定はしないけど、テストに関して言えば8割は余裕でしょう?」
何言ってるんだか。
理紗が馬鹿なのは間違いないけど、それは勉強ではないのよ。
地頭は馬鹿じゃないの、この子。
「…まぁね?それくらいは取るよ♪先生に叱られなくは無いからね。点数良ければ何も言えないでしょ?」
「……貴女は間違い無く問題児よね」
その考えの時点で問題児の自覚あるよね。
点数が良いからって叱られないかは別な気もするけど。
寧ろ勉強は出来てるから、先生としては厄介な相手なんじゃないかしら。
「え〜?礼奈だって紛う事なき問題児だよ?テストオール満点の異端児さん?」
「あら、だって休んでて点数も悪かったから、先生にごちゃごちゃいわれて面倒臭いでしょう?」
休むからには点数は取るわ。
誰にも文句言えないように。
それが一番楽なのよ。
「……うぅ…2人とも頭いいんだね」
いや、私も理紗も厄介事を回避する為にそこそこいい点数を取ってるだけよ。
「結っちこそ、心配し過ぎなんだよ。7割取ればいいだけだよ?」
「……取れるか分からないから教えてって言ってるんだよ」
涙目で顔を覆う天里君。
「……結っち、出題範囲は中学の時に習ったものが主だよ?」
先生言ってたじゃんと、理紗が首を傾げる。
「………うぅ」
「………え?…マジ?」
「……」
「ヤバくね?」
シュンと俯く天里君と愕然とする理紗。
「………うわ〜ん!!礼奈ちゃ〜ん…!!!」
あぁ…。
私に泣きつかないで。
会長達に泣きついてくれよ……。
真面目に教えてくれなくても、アドバイスくらいはくれるでしょう?
「……礼奈…教えてあげよう?」
あぁ…理紗の目が同情の色が濃くなってる……。
……え?…なにこれ。
本当に面倒臭いよ……。
ついでにクラスメイトの視線が怖い。
なんで私だけが睨まれてるの?理不尽よ……。
「………分かったわよ…」
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