第45話
「まあ、夏樹さんの事なんてどうでもいいの。私のことを心配して、様子を見に来てくれただけなのだから」
ただ、心配性なだけ。
「…先輩、頭付いてきてますか?」
「……あ…ああ」
……うん、大丈夫かしら?
放心しちゃってるけど。
「先輩、家まで送ってくださりありがとうございました」
私は家に着いたから本来なら中に入りたいな。
頭が混乱しているらしい先輩は、未だに動く気配は無い。
「……ああ。……ゆっくり休めよ?」
それでもなんとか引き攣った笑みを浮かべて先輩は言う。
頑張って取り繕ってくれて入るけれど、あんまり効果は無いというか、無理してる感が抜けていない。
「ありがとうございます。先輩も気をつけてお帰りください」
そして、きちんと説明してあげるわけでもなく放置。
先輩に疑問が残ることが分かっていての放置。
ベラベラ話したところで何も変わらない。
夏樹さんが何者かなんて、結局赤の他人の先輩には関係の無い話。
分かることと言えば、Liberteの社長で元双葉のリーダーだったことだけ。
知りたいのなら調べればいい。
欲しい情報が調べられるかは知らないけれど。
私は先輩に背を向けて玄関の鍵を開けて、誰もいない室内に消えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます