第39話
いつも通りにしていてくださればいいのですよ。
私のことなど余り気にせずに。
聞き流してくださればいいのに。
どうしてこの方々は自分のことのように、悲痛な表情を浮かべるのでしょうか。
「…皆様、優しいですね?」
純粋ですね。
感情が。
羨ましい限りです。
私にはそんなに綺麗な感情は残っておりませんから。
「帰るぞ、礼奈」
「ふふ、そうですね。会長」
会長はお変わりないようで♪
ふわりと笑みを浮かべて会長を見上げる。
いつも通り、何を考えているか分からない表情。
このくらいの反応でいいんですよ。
そして、会長に連れて行かれたのは、数台のバイクが止められている場所。
「……このバイクは?」
「俺達の」
コレで帰るって事かしら。
確か環は車で30分は掛かる距離って言ってたわよね……。
「……はい、ヘルメット」
「…ありがとうございます」
電車で帰るのも面倒臭そうだから、お言葉に甘えよう。
どうして二人分のヘルメットがあるかなんてのは聞かない。
「……乗れるか?」
「大丈夫です」
バイクの後ろには何度か乗せてもらった事がある。
ひょいっとバイクの後ろの席に乗る。
うん、久しぶりだな♪
私が掴まったことを確認すると、会長はバイクを発進させた。
その後ろから他の生徒会役員達が追ってくる。
そのまま私はバイクで学校へと帰った。
会長達はバイクを降り、生徒会室へと向かって歩いて行くので後を追う。
何故なら未だに私のエコバッグを会長が持っているから。
生徒会室へと向かう廊下で、ふらふらと歩いている理紗と遭遇した。
…タイミングが良いのか、悪いのか。
「あ!礼奈♪心配したんだよ?体調大丈夫?」
「理紗?勝手に人の個人情報を他人に渡すのは感心しないわよ?」
訴えられても知らないわよ。
「…あ〜?会長達に連絡先教えたこと?」
「ええ」
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