第24話

夕方、4時過ぎ。



「ただいま」

「だだいまでちゅ」

「……ま」

「ただいま〜」



カチャリと玄関が開く音がして、タタッと3,4歳くらいの女の子がリビングへと駆け込んで来る。

けれど中に入って来る前に俺達を見つけて、不思議そうに首を傾げた。

その後ろから小学生の女の子と中学生の男の子がやって来て、同じように首を傾げる。

けれどすぐに中学生の男の子が微笑んだ。

お嬢さんに良く似た笑顔で。



「こんにちは、宮元さん。…こちらの方々は?…華奈かな、先に手を洗わせて来て?」

「分かった」



小学生の女の子に指示を出して、男の子が俺達を見る。

警戒しているのか、探るような眼差し、

そりゃそうだろう。

帰って来たら知らねぇ奴らが家に居るんだから。

嬢はここにはいねぇし。



「秀一でいいよ。勝手に上がっちゃって、ごめんね?礼奈ちゃんが熱出しちゃって…」



秀は彼と知り合いらしい。

……何処で知り合ったんだろうか?



「あ、すみません。姉がご迷惑をおかけしたみたいで」



ぺこりと頭を下げる彼。



「にぃに〜、おてて洗ったよぉ?お兄ちゃん達だぁれ?」



とことこと部屋に戻って来たのは、先程の小さな女の子。

ふわふわの栗色の髪の毛に、くりんとした大きな瞳。



「偉いね、陽奈ひな



ふわりと妹に微笑んで頭を撫でる彼。



「…始めまして、北見海です。陽奈もご挨拶しようね?」

「はぁい!きたみひな、4さいです」



にこにこととても可愛らしい。



「…私も♪始めまして、北見華奈きたみかな、小学5年生です」



にこりと微笑んでリビングへと入って来る華奈ちゃん。

茶色の髪の毛をポニーテールにした、溌剌とした女の子。

余り嬢と海君には似ていない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る