第23話
🪶琉生🪶
水のペットボトルを片手に嬢の部屋へと入る。
ドアの開く音で目が覚めたのか、ゆったりと身体を起こす嬢が目に入る。
「はい、水な〜?」
起きているのならとズカズカと中まで入り、ベッドサイドの小型の引き出しの上にペットボトルを置く。
「…ありがとうございます」
火照った顔でにこりと微笑する嬢。
そのまま引き出しの一番上を開けて、中をゴソゴソと探る。
中には大量の薬。
その中から解熱剤の箱を取り出す。
「…凄い量、だなぁ」
苦笑しながら言えば、嬢は答えること無く解熱剤を口に含んで飲み下した。
「…先輩、ありがとうございました。帰ってくださって結構ですよ?」
素っ気無いお嬢さんだ。
何があったかも俺達には伝える気は無い。
「親に連絡は?」
「…いいんです。帰って来ないので」
そう言いながら嬢は布団の中へ戻って行く。
これ以上答えてはくれなさそうだ。
俺が部屋の中に居ても眠れないだろうと、廊下へ出て下へ降りる。
ただ最後に聞いた言葉だけが、耳に残って離れなかった。
リビングでは結がそわそわとしながら俺を待っていた。
「ルー君、礼奈ちゃんどうだった?」
「どうって、さっきと変わんねぇよ」
そんなにすぐ症状改善しないだろ。
そう思いながら空いているソファに座る。
まだ聞きたいことがあるのか、ジッとこちらを見つめてくる結。
「なぁに?結ちゃん?」
わざとちゃん付けして呼んでやる。
「…ううん。大丈夫かなって」
心配そうに呟いて俯いてしまう。
全く、心配性だねぇ?
「自分で薬飲んでたから大丈夫だよ」
俺はこの場にいる全員を安心させるようにそう言った。
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