第21話
☀結☀
ひらひらと軽い態度で生徒会室を出て行った理紗ちゃん。
理紗ちゃんは礼奈ちゃんの事を、「どうせ、ヘマやったのよ」と、呆れたように笑っていたけれど。
取り敢えず、僕達は理紗ちゃんが言っていたように屋上へとやって来た。
閉じ込められたと、言っていた理紗ちゃんを信じて、鍵の掛かっている屋上の扉を開けて、外へと出る。
そこには壁に寄りかかり、ぐったりとしている礼奈ちゃんが…。
名前を呼んでみても反応が無い。
ズカズカと自分が濡れる事も構わずに礼奈ちゃんに近づき、自分のブレザーに包むようにして抱き上げる桐斗君。
すぐには桐斗君は戻って来る。
「……どう?」
心配そうに秀君が桐斗君を見る。
「…悪い」
礼奈ちゃんの様子を確認しながら、桐斗君は顔を顰める。
桐斗君の腕の中で、血の気の引いた蒼白い顔に荒い息。
意識は無い。
足早に保健室へと向かう。
保健室には理紗ちゃんが待っていて、礼奈ちゃんを見て呆れたように溜息をついた。
礼奈ちゃんを素早く着替えさせて、ベッドに寝かせた理紗ちゃんは。
「馬鹿なのよ。もし起きたら言っておいて?次は無いって!」
と、言い捨てて保健室を出て行った。
取り残された俺達はベッドに眠る礼奈ちゃんを見下ろす。
冷え切り蒼白い顔は、彼女を造り物の人形みたいだ。
今にも壊れてしまいそうで。
目を閉じまま起きないのではないかと思ってしまう。
礼奈ちゃんが起きるのを静かに待つ。
少しすれば礼奈ちゃんが僅かに
長い睫毛を震わせて、薄っすらと瞼を上げる。
ぼんやりと寝ぼけ眼に桐斗君を見つめる。
寝起きで頭が働かないのか不思議そうだ。
「……あれ?…会…長?」
きょとんと不思議そうに桐斗君を見つめながら、現状が飲み込めない礼奈ちゃん。
「…大丈夫か?」
「…え?……あ、はい。……ありがとうございました」
何となくは読めて来たのか、戸惑い気味にお礼を言う。
「熱もあるから帰りなよ。家の人は?」
携帯片手に秀君が礼奈ちゃんに問う。
礼奈ちゃんはぱちくりと秀君を見つめた後、ふるふると首を振る。
「…じゃあ、送るよ」
「……っえ!?…あ…大丈夫です」
慌てたようにブンブンと首を振る礼奈ちゃん。
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