第79話

彼の気持ちが真剣で純粋なものなのだと思うと、



(……私も、ちゃんと真剣に向き合わなくちゃ)



自然とそう思えてくる。



まだ俊のことを吹っ切れてはいないので、今すぐには無理だけれど。



いつか、彼のことを思い出の一部だと心から思えるようになって、まだ伊吹が都古のことを想い続けてくれていたとしたら、その時は――……



(そんな身勝手なワガママ、許されるのかしら……?)



分からないけれど、今の都古の正直な気持ちを、伊吹にきちんと伝える必要はあると思う。



(明日、は……急すぎる? でも……)



いつも真っ直ぐに気持ちを向けてくれている伊吹に対して、いつまでも曖昧な態度を取りたくはない。



それに、明日はいよいよ都古たちのバス遠足の日。



伊吹からは以前にお土産のお菓子をもらっているので、都古ももちろん彼へのお土産は買うつもり。



そのお土産を渡すタイミングで、少しだけ話が出来ないかな、と考えて、



「そうだ」



やっと靴を脱いだ都古は、真っ直ぐにリビングへと向かい、鞄と共に自らもソファーへと沈み込むようにして座って、制服のポケットからスマホを取り出す。



メッセージアプリを開き、先程、醜態を晒してしまったことを謝る文面を先に送ってから、



『明日、朝倉くんにもお土産渡したいから、放課後ちょっと会える?』



大事な話がある、というと身構えられそうだったので、少し言い回しを変えて送信。

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